退職時の有給消化について

残有給は買い取りOK? 退職時に知っておきたい有給休暇のルール

有給休暇は付与されていても、「なかなか消化できない」という人も多いのではないでしょうか。しかし2019年4月1日より、「有給休暇を付与するだけでなく、消化させなければならない」というルール*1) ができ、これからは有給を積極的に活用することが推進されそうです。

計画的に取得したいものですが、急に転職することになった時などは、余った有給をどうすべきでしょうか。退職が決まった人も有給取得できるのか、消化しきれない場合はどうするのか。退職時の有給にまつわる知識を確認しておきましょう。

転職先が決定したら! なるべく早く有給休暇の計画を

退職が決まった人でも、退職日までは有給休暇を取得する権利があります。一般的に、転職する場合は内定から1~2カ月で次の会社に移ることが多く、有給休暇をたくさん残している人は全てを消化できないということも。

内定先の入社日を決める時に、引継ぎの日程、有給休暇の日数を考慮して決めるとよいでしょう。

有給休暇には時効がある! 転職前に何日休めるかを確認しよう

有給休暇の予定を立てるには、まず「何日残っているのか」を確認する必要があります。
有給休暇の日数は法律で決められていますので、厚生労働省の以下サイトと会社の就業規定を照らし合わせ、確認してみてください。

注意したいのは「有給休暇の時効」。付与された休暇を使わないで2年間放置した場合、その権利が失われます。
また、週に働く日数が1日~4日の人は、週の日数によって付与される有給日数が変わることにも注意が必要です。過去にさかのぼって計算するときは、その時の労働日数を確認し、正しい日数を計算するようにしてください。

出勤率に要注意! 有給休暇が付与されないケースとは

休暇の付与は法律で決められてはいますが、「有給休暇の付与には全労働日の8割以上出勤していること」という条件も、法律で決められています。もし算定期間に欠勤が多く、出勤日が8割を満たしていない場合は有給休暇が付与されません。

ただし、以下のような場合は出勤とみなされます。会社が適切に有給休暇を付与しているか、自分自身でもカウントして確認するようにしてください。

『・業務上の怪我や病気で休んでいる期間、法律上の育児休業や介護休業を取得した期間などは、出勤したものとみなして取り扱う必要があります。
・会社都合の休業期間などは、原則として、全労働日から除外する必要があります。』

転職先の初出社日までに消化しきれない! 有給休暇は買い取ってもらえる?

未消化の有給休暇が30日あったとしても、新しい会社の入社日が10日後では有給休暇をすべて消化しきれません。こういう場合は人事部などに相談をしてみてください。
本来、有給休暇は「休みをとる」ことが目的のため、お金で買い取ることは法律で禁止されています。しかし退職時には別扱い。厚生労働省のWebサイトにも以下のようにあります。

『ただし、退職時に結果的に残ってしまった年次有給休暇に対し、残日数に応じた金銭を給付することは差し支えありません。』 -厚生労働省 *2)

有給休暇1日をいくらで買い取るかは、会社が決められることになっています。

有給休暇取得にはマナーあり!

有給を使って休むことは労働者の権利ではありますが、とはいえ周りへの配慮も大切です。できるだけ周りに迷惑がかからないよう、いつからいつまで有給休暇をとるかは上司や同僚と相談してください。

他の人の有給休暇や繁忙期、引継ぎ日程となるべく重ならないようによく配慮し、気持ち良く休暇を過ごしたいものです。

取材協力

星野陽子(ほしの・ようこ)

HRプラス社会保険労務士法人所属の社会保険労務士。東京都渋谷区恵比寿を拠点に、「HR(人事部)に安心、情報、改善という付加価値をプラスしていく」いうコンセプトのもと、全国の顧問先に対し人事労務に関するソリューション提案を行っている。企業が元気にならないと雇用は生まれない、賃上げはできないとの思いから「人事労務で疲弊する日本中の経営者・人事マンを元気にする!」をミッションに掲げ、人事労務担当者の立場に立った人事労務相談、就業規則や諸規程の整備、IPO支援、海外進出支援、社会保険事務のアウトソーシングなどを展開。品質と信頼を担保するために、担当するスタッフ全員が社会保険労務士有資格者。万全のセキュリティ体制でマイナンバー制度へも対応している。

イラスト:桔川 伸

文:坂口弥生

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