【専門家監修】知らなきゃソン! 転職時にもらえる退職金基礎知識
退職後に使えるお金がどれぐらいあるかというのは、誰しもが気になるところでしょう。転職をする時には、会社のルールに基づいて退職金の一部を受け取ることも。
退職金にも税金がかかりますが、申告することで大きく節約できますので、これを機に退職金についての一般知識をおさえておきましょう。
転職時は必ず確認! 会社の退職金制度
もしあなたの会社に退職金制度があれば、転職時に退職金がもらえることもあります。退職金が存在する場合、そのことを就業規則に記載すべきという法律*1)がありますので、退職金があるかどうかわからないという人は、まず就業規則を確認しましょう。
退職金は必ずしも払わなくてもよい
終身雇用があたりまえであった頃は、在籍中の功労に対して退職金を用意した企業が多かったようですが、最近では退職金制度のない会社も珍しくなくなりました。
退職金を支給するか否かは各企業が判断できることになっていますので、支給がなくても法律違反ではありません。
転職者は「退職一時金」 - 退職金には種類がある
退職金は会社を辞める時に一括でもらう「退職一時金」が一般的です。転職者が受け取る場合は、一時金であることがほとんどでしょう。
その他にも「企業年金」といって、退職後に分割で継続的に支払われるタイプもあります。また、企業によっては退職金を前払いで支払うということもあり、その場合はボーナスなどに加算して支払われます。
転職者も必見! 退職金をもらったら手続きで節税を
前払い退職金では節税できませんが、転職時に一括でもらったり、企業年金として受け取ったりする場合は、「退職所得の受給に関する申告」を会社にすることで、退職金にかかる所得税の支払い額を減らすことができます。
控除される金額は勤続年数に比例し、国税庁Webサイトにある以下の表にあてはめて算出することができます。
退職所得控除額の計算の表*2)
例えば10年働いた会社を退職し、退職一時金を受け取った場合、申請により控除される額は以下の通りとなります。
40万円×10年=400万円
申告した時としない時、退職金にかかる所得税はどれぐらい違う?
申請したときの課税対象額は(退職金-退職所得控除額)÷2と計算されます。
10年働いた時の退職一時金が600万円の場合、上記のとおり控除額の400万円を差し引き、課税対象額は(600万-400万)÷2=100万となります。
・申告をしない場合課税対象額 600万円
・申告した場合の課税対象額 100万円
上記それぞれのケースで所得税額を計算してみます。ただし、収入は退職所得だけとし、基礎控除やその他控除は考えないものとします。
所得税の税率は以下の通り。*3)
・申請しない場合 600万×20.42%=122万5,200円
※申請しない場合、20.42%が源泉税として引かれます
・申請した場合 100万÷2×5%=5万円
申告するのとしないのとでは、なんと税金が約117万円も違ってきます!
必要書類は以下国税庁のページにリンクがありますので、必ず手続きしてください。万が一忘れてしまった場合には、確定申告で精算し直す必要があります。
転職時の忙しさで退職金の所得税申告を忘れないように!
退職手続き、入社手続きと慣れない手続きが多い転職時期。退職金の所得控除まで気が回らないかもしれません。内定がきまったら手続き一覧を書き出し、漏れなく行いたいものですね!