【2025年4月改正】失業保険の給付制限が変わる!自己都合退職での受給がスムーズに

【2025年4月改正】失業保険の給付制限が変わる!自己都合退職での受給がスムーズに

2024年5月に雇用保険法の改正が成立し、2025年4月から自己都合退職者の失業給付に関するルールが大きく変わります。

これまで自己都合で退職すると、失業給付の受給開始まで2か月待たなければなりませんでしたが、この期間が短縮されることになりました。
また、教育訓練を受講することで給付制限期間が解除される新制度も導入されます。

本記事では、失業給付に関する改正のポイントと活用方法について詳しく解説します。

失業保険の給付制限はどう変わる?

失業給付(雇用保険の基本手当)を受給する場合、自己都合による退職では一定期間の給付制限が設けられています。
この制限は、再就職の準備をする時間的余裕がない会社都合の退職者と比べて、自己都合退職者は計画的に準備ができるという考えに基づいています。

しかし、労働者が安心して再就職活動を行えるようにする観点から、2025年4月より給付制限の仕組みが大幅に見直されることになりました。

参考:令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について(厚生労働省)

給付制限期間が2か月から1か月に短縮

2025年3月までの失業給付では、自己都合で退職した場合、7日間の待機期間に加えて2か月の給付制限期間が設けられています。
そのため、実際の給付開始までの期間で言えば、ハローワークでの手続きに必要な日数を含めると約2か月半かかることになります。

2025年4月からは、この給付制限期間が1か月に短縮されます。
これにより、待機期間と合わせても約1か月半で給付が開始されるようになり、より早期の生活支援が可能となりました。

ただし、5年以内に3回以上自己都合で退職した場合は、給付制限期間が3か月となる点に注意が必要です。
この措置は、安易な転職を抑制する目的があると考えられます。

教育訓練受講で給付制限が解除に

さらに注目すべき改正点として、教育訓練の受講により給付制限期間が解除される制度が新設されます。
具体的には、離職日前1年以内に厚生労働省が定める教育訓練を受講していた場合、または離職後に受講する場合、給付制限期間が撤廃され、待機期間7日間を経ればすぐに失業給付を受けられるようになります。

対象となる教育訓練には、教育訓練給付の対象となる講座のほか、厚生労働省令で定める訓練が含まれます。
現行制度でもハローワークの指示による職業訓練受講で給付制限が解除されますが、2025年4月からは自主的な教育訓練でも同様の効果が得られるようになったことが大きな変更点といえます。

失業保険を受給するための手続き

失業保険を受給するためには、必要書類を準備してハローワークで手続きを行う必要があります。
手続きは退職者本人が行わなければならず、代理人による申請はできません。

最初の手続きから実際の給付開始までには一定の期間がかかり、その間の求職活動も必要となります。
ここでは、スムーズに受給を開始するために必要な手続きの流れを詳しく解説します。

退職時に必要な書類

失業保険の手続きに必要な書類の中で最も重要なのが、会社から交付される「雇用保険被保険者離職票1・2」です。
離職票は退職後速やかに交付されるよう会社に依頼しましょう。

そのほかに必要な書類には、本人確認書類やマイナンバーが確認できる書類があります。一覧にすると、下記の通りです。

● 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
● マイナンバーの確認書類(通知カードまたはマイナンバーが記載された住民票)
● 顔写真(縦3cm×横2.5cmを2枚/正面上半身で背景は無地)
● 振込先の預金通帳またはキャッシュカード

ハローワークでの手続きの流れ

ハローワークでの最初の手続きは求職申込みから始まります。
求職申込書に記入し、用意した書類とともに提出します。
このとき、職業相談を受けながら希望する仕事について具体的に相談することができます。

書類の確認後、「雇用保険受給資格者証」が交付され、雇用保険説明会の日時が指定されます。
説明会では失業給付の受給方法や求職活動について詳しい説明があり、その後「失業認定申告書」が交付されます。

これをもとに、4週間ごとの失業認定日が決定され、認定を受けた日数分の給付金が支給される仕組みです。

受給開始までのスケジュール

失業給付は、ハローワークで求職申込みをした日から先述の待機期間(7日間)を経過した後に開始されます。
ただし、自己都合による退職の場合は2025年3月までは2か月、同年4月以降は1か月の給付制限期間が設けられます。

実際の給付金は、失業の認定を受けた日から5営業日程度で指定の口座に振り込まれます。
その後は4週間ごとの失業認定日に、失業状態の確認と求職活動実績の確認が行われます。

求職活動実績は、2回目以降の失業認定では原則として認定対象期間中に2回以上必要となります。
活動実績には職業相談や企業説明会への参加、履歴書の提出なども含まれます。

失業中の生活を支えるそのほかの法改正

今回の雇用保険法改正では、給付制限期間の短縮以外にも、失業中の生活を支援するためのさまざまな制度改正が行われます。
とくに注目したいのは教育訓練給付の拡充で、これにより失業期間中のスキルアップがより手厚く支援されるようになります。

また、早期再就職を促進するための就業促進手当のしくみも大きく見直されます。
いずれの改正も2024年10月から2025年4月にかけて順次実施されます。

教育訓練給付の拡充

2024年10月から、専門実践教育訓練給付の支援内容が大幅に拡充されます。
従来は訓練費用の50%が基本給付でしたが、これに加えて資格取得時には20%の追加給付が行われ、さらに賃金が上昇した場合には10%が追加で支給されるようになります。

特定一般教育訓練給付についても、基本給付40%に加えて資格取得時の追加給付10%が新設され、最大で訓練費用の50%まで給付を受けることが可能になりました。

就業促進手当の見直し

2025年4月からは就業促進手当の制度が大きく変更されます。
これまでの就業手当(※安定した職業でない仕事に早期再就職した場合の手当)は廃止となり、就業促進定着手当(※早期再就職したものの離職前より賃金が低下していた場合の手当)の支給上限が変更されます。

具体的には、再就職手当として支給残日数の70%が支給された場合の追加支給上限が、従来の30%から20%に引き下げられます。

一方で、早期の再就職を実現した場合の基本的な給付内容は維持されており、安定した職業に就いた場合には、基本手当の支給残日数の一部が一時金として支給されます。

改正後の失業保険をうまく活用するポイント

2025年4月の法改正により、失業保険の受給環境は大きく改善されます。

特に、給付制限期間の短縮と教育訓練による制限解除は、自己都合退職者の生活をより手厚く支援するものとなりました。
この制度改正を最大限活用するためには、退職時期の検討から教育訓練の活用まで、計画的な準備が重要です。

ここでは、改正後の失業保険を効果的に活用するためのポイントを解説します。

退職までの準備と計画づくり

退職の準備は、まず退職時期の決定から始めましょう。
2025年4月以降の退職であれば、給付制限期間の短縮や教育訓練による制限解除といった新制度を活用できます。

退職日が決まったら、必要書類の準備スケジュールを立てます。
とくに離職票の発行には時間がかかることがあるため、早めに会社への依頼を済ませておきましょう。

また、失業給付が実際に支給されるまでの期間の生活費を試算し、必要な貯蓄額を確保することも重要です。
同時に、教育訓練の受講を検討する場合は、講座の選定や費用の見積もりも行います。
これらの準備と並行して、求人情報のリサーチや企業研究も始めておくと良いでしょう。

教育訓練を活用した転職戦略

教育訓練の選択は、将来のキャリアを見据えて慎重に行うことが大切です。
受講により給付制限が解除されることを考えると、離職日前1年以内に受講を開始するのが理想的です。
厚生労働大臣指定の教育訓練講座から、自身のキャリアプランに合った講座を選びましょう。

教育訓練給付金の拡充も活用できます。
資格取得や賃金上昇による追加給付を視野に入れた講座選びが効果的です。
ただし、教育訓練の受講中も失業認定を受けるための求職活動は必要です。訓練と求職活動のバランスを考えた計画を立てることがポイントとなります。

まとめ

2025年4月からの雇用保険法改正は、自己都合退職者の生活支援を大きく前進させるものです。
給付制限期間が短縮され、教育訓練による制限解除も可能になることで、より柔軟な転職活動が実現できます。
また、教育訓練給付の拡充により、失業期間中のスキルアップもサポートされます。

これらの制度を上手に活用するためには、退職時期の検討から教育訓練の選択まで、計画的な準備が重要です。
改正内容を十分理解し、自身のキャリアアップにつながる転職を実現しましょう。

2024年12月23日公開

遠藤秋乃(えんどう あきの)

<ライター>

遠藤秋乃(えんどう あきの)
大学卒業後、メガバンクの融資部門での勤務2年を経て不動産会社へ転職。
転職後、2015年~2016年にかけて、司法書士試験・行政書士試験に合格。知識を活かしてさまざまな問題に悩む顧客の相談に200件以上対応し、2017年に退社後フリーライターへ転身。

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