「退職」と「退社」の違い|履歴書への書き方や似ている言葉も解説

「退職」と「退社」の違い|履歴書への書き方や似ている言葉も解説

日本語の中には、一見似たような言葉なのに意味合いが異なるものが多く、さらに一つの言葉が複数のケースで使われていることもあります。
例えば「退職」と「退社」もその一つです。

これら2つの言葉は、用いられている意味を理解して使用しないと、相手を混乱させてしまうおそれがあるため注意が必要です。

この記事では、「退職」と「退社」の違いについて、履歴書への書き方や似ている言葉にも触れつつ解説します。

「退職」と「退社」の違いとは

単語としての「退職」と「退社」の意味は、それぞれ以下の通りです。

退職 職をしりぞくこと
※現在働いている職を辞すこと、のニュアンスが強い
退社 ●会社を辞めること
●その日の勤めが終わり、会社から退出すること

上記の通り、「退職」には基本的に1つの意味しかなく、「退社」には2つの意味があることが分かります。

これを踏まえた上で、以下の2つの文の意味を考えてみましょう。

① AさんはB社を退職した。
② AさんはB社を退社した。

文①の場合、退職という単語の意味は1つしかないため、すでにAさんは何らかの事情でB社を辞めてしまったものと判断できます。

しかし文②の場合、AさんがB社を定時退社したのか、そうではなくB社を辞めたのか、あるいは取引先であるB社を出発したのかなど、読み手によって複数の解釈ができます。

そのため、退職に関しては基本的に「会社を辞める」という意味合いで使用して問題なさそうですが、退社に関しては文脈・シチュエーションによって使い方が分かれるものと考えておくと良いでしょう。

履歴書には「退職」と「退社」のどちらを書くのが正解?

過去に仕事を辞めたことがあり、そのことを職歴に記載する場合、履歴書には「退職」と「退社」のどちらを使用すべきなのか、悩んだことがある人もいるでしょう。

結論を先に述べると、履歴書の職歴に辞めた会社の情報を記載する場合、読み手もその意味合いで理解してくれるため、退職でも退社でも特段問題はありません。

しかし、あえて“履歴書に書くのにふさわしい表現”をあげるのであれば、以下のような理由から「退職」の方が適しているものと考えられます。

●意味が「職をしりぞくこと」の1つしかなく、読み手が混同しにくい
●過去に会社以外の組織で働いていた場合、厳密には「退社」という表現はふさわしくない

よって、特に思い入れがない場合や、応募先からの指定等がない場合は、「退職」を使用していれば問題ないでしょう。

口頭のケース(電話・対面など)での使い分けについて

履歴書に記載する場合は、退社よりも退職の方が適切だと分かりましたが、口頭でやり取りするケースでは情報を補足しないと相手が誤解してしまうおそれがあります。

以下、電話・対面など口頭のケースにおける「退社」・「退職」の使い分けについて解説します。

自分または他の社員が“帰宅した”ことを伝えるケース

自分が仕事を終えて自宅に帰った場合、または同僚や上司などが帰宅した場合は、相手に対して「○○は18時頃に退社しました」と伝えるのが正解です。

退社した時間を添えて伝えるのは、単純に「○○は退社しました」とだけ伝えると、相手が退職の意味合いで誤解してしまう可能性もあるためです。

明日の予定が分かる場合は、明日の出社予定時間などを教えてあげると親切です。
なお、他の類似表現としては「本日は失礼させていただきました」などがあげられます。

自分または他の社員が“辞める(辞めた)”ことを伝えるケース

自分が近日中に職場を離れる予定である場合は、相手に「○月末で退職(退社)する予定です」と伝えましょう。

この場合、辞めるタイミングを先に伝えているため、退職・退社のいずれを使用したとしても、相手が意味合いを誤解するリスクは低いはずです。

よりシンプルな表現にするなら「○月末で会社を辞めさせていただく予定です」などと伝えてもよいでしょう。

また、自分以外の社員が辞める(辞めた)ことを伝えるのであれば、「○○は○月○日付で退職しております」などと伝えた方が自然です。

メールの場合は「退職」と「退社」のどっち?

現在働いている職場を離れる場合、取引先や他の社員に挨拶メールを送信することが多いでしょう。

そのような場合は、退社ではなく「退職」を使用した方が安心です。

理由は、メールの場合は文章でのやり取りになるため、退社を使用すると誤解が生じてしまうおそれがあるからです。
よって、基本的には「退職」を使用しましょう。

「退職」や「退社」と似た言葉の意味や使い方

退職・退社という2つの言葉を使用する際は、それぞれのニュアンスの違いを理解した上で使用する必要があります。

しかし、実はそれ以外にも退職・退社と混同されやすい言葉はいくつか存在しているため、本記事ではその中でも特にビジネスシーンで使われやすい言葉をまとめました。

離職 ●「職を離れること」の意味で用いられる
●退職と比較して、会社都合・解雇など「自分の意志によらない退職」の際に利用される傾向がみられる
●過に仕事を辞めて、現在新しい職に就いていないケースでも「現在離職中です」といったニュアンスで用いられる
退勤 ●「仕事をしている状態からしりぞく」意味合いで用いられ、会社を離れてからも仕事を続けている場合は“退社はしていても退勤はしていない”状態といえ
●リモートワークなどで勤務している場合は、仕事が終わった際に退社ではなく「退勤」を使用するのが適切と考えられる
帰社 ●「出先から職場(自社)」に戻ったことを意味する
●営業職など、外出が多い職種で使われがち
辞職 ●「自らの意志で職を辞す」意味合いで用いられる
●主に“役員以上の役職者”が辞めるケースで用いられることが多い
離席 ●「一時的に自分の席から離れる」意味
●会議や休憩、用事のため席を外しているケースなどで用いられる

まとめ

「退職」は職を辞めること、「退社」は会社を辞めること・会社から退出することの両方を意味する言葉です。
よって、履歴書やメールなどに記載する際は、誤解を防ぐため「退職」と書く方が適切です。

口頭では、退社は「帰宅」の意味で、退職は「会社を辞める」の意味で用いられることが多い傾向にあります。

その他、ビジネスシーンでは紛らわしい言葉がいくつか存在しているため、それぞれの正しい意味を理解した上で、状況に応じて使い分けることが大切です。

2024年12月5日公開

文:JOB編集部

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