未経験職種の志望動機をまとめる際のポイント・例文を紹介

未経験職種の志望動機をまとめる際のポイント・例文を紹介

転職で未経験の職種に応募する場合、志望動機をどのようにまとめればよいのか、具体的なイメージが湧かない方もいるでしょう。

しかし、そもそも志望動機とは「応募者がなぜその企業で働きたいのか」を伝える項目ですから、必ずしもこれまでの実務経験を前面に押し出してまとめる必要はありません。

この記事では、未経験職種に転職するケースを想定して、転職の志望動機をまとめる際のポイント・例文をご紹介します。

転職の志望動機を未経験職種で作成する際のポイント

転職の志望動機は、応募職種の経験の有無を問わず、志望動機として応募先が納得できるものかどうかが大切なポイントです。
よって、以下の点を押さえて志望動機を作成することで、書類選考・面接の通過率を高めることにつながります。

「応募先目線」で考える

応募した求人に「未経験者歓迎」や「経験不問」といったキーワードが盛り込まれていたとしても、「誰でもいい」わけではありません。

採用担当者としても、経験の有無に関わらず応募先(企業)や業界に関するリサーチを行った上で、自社で活躍できる自分なりの根拠を持っている人を採用したいと考えるはずです。

よって、求人に記載されている内容をよく読んだら、自分がその職種・応募先を希望する・マッチすると考えた理由を、箇条書きにして挙げてみましょう。

例えば、介護職から営業職へと転職を検討しているケースで考えてみると、次のような理由が思い浮かぶかもしれません。

●利用者(お客様)の気持ちを汲んで行動するのが好き
●信頼関係を築くことの大切さを理解している
●相手を否定しないコミュニケーションを心がけてきた

上記のように、自分で考えた理由をもとに、志望動機を考えていきます。

例文

応募先目線を取り入れて志望動機をまとめる際は、次のようなイメージでまとめるとよいでしょう。

<介護職から営業職へ転職するケースを想定>

前職では、施設利用者であるお客様の気持ちを考えながら、時には先読みする形で行動するのが好きでした。また、相手を否定しないコミュニケーションをとって、利用者様と信頼関係を築けるよう努力してきました。このスキルを営業職でも活かせるのではないかと考え、貴社を志望いたしました。

転職先の応募職種・自分のスキルのマッチングを考える

志望動機をまとめる際は、実務経験・保有している資格・培ったスキルなどに注目し、応募職種とマッチしている部分があるかどうか確認しましょう。

応募職種そのものの経験はなかったとしても、その職種で仕事を進める上で役立つ“何か”を、自分が持っている場合があるからです。

例えば、総務職から人事職へ転職するなど、大きな枠組みで捉えれば「バックオフィス部門」に分類される職種への転職を志している場合、次のようなスキルはどの職場でも共通して重宝されます。

●Excel・Wordなどのオフィスソフト利用に関するスキル
●仕訳や給与計算など、実務の一部で会計ソフトに触れた経験
●取引先との接客対応、コミュニケーション能力

このように、応募先の職種においてですぐ役立てられそうなスキルがあれば、それをベースに志望動機を考えることができます。

例文

応募先にマッチしそうなスキルをベースに志望動機をまとめる際は、次のようなイメージでまとめるとよいでしょう。

<総務職から人事職に転職するケースを想定>

前職では総務職として勤務していましたが、一部人事労務に関する領域の仕事も担当しておりました。具体的には、給与計算や経費精算の一部につき、会計ソフトでの仕訳作成やExcelでのデータ集計などを担当していました。取引先の受付も兼任している状況だったため、様々な人と関わる機会にも恵まれました。この経験を貴社で役立てられるのではないかと考え、今回志望いたしました。

コミュニケーション能力・柔軟性・適応性をアピールする

実務未経験者が戦力になるためには、どれだけ早く職場に溶け込めるか、柔軟に知識・技術を吸収できるかが重要なポイントになります。

よって、志望動機の中に「コミュニケーション能力」・「柔軟性」・「適応性」を感じられる内容を盛り込めると、採用担当者の評価を高めることにつながります。

このとき、使い古されているキーワードを使ってしまうと、その他大勢の応募者の中に埋もれてしまうおそれがあります。

そのため、過去の職場での経験を添えて、柔軟性・適応性をアピールすることが大切です。

例文

前職で培ったコミュニケーション能力や柔軟性、適応性などを盛り込んで志望動機を作成する場合、以下のようなイメージになるでしょう。

<コールセンタースタッフから不動産管理職に転職するケースを想定>

前職では、主に不動産管理会社に代わって入居者様の問い合わせ対応を担当していました。話し方・ルールが比較的柔軟だった一方、管理会社側から認められている範囲で対応を自ら判断する必要があったことから、自然と様々なトラブル・クレームのケースについて学ぶことができました。この経験を貴社で活かし、入居者様にとって住み心地の良い環境を整えられるよう、日々の仕事に取り組みたいと考えております。

未経験の職種にチャレンジする上で努力していることをアピール

未経験の職種に応募するにあたり、現時点で応募先が求める要件を自分が十分に満たしていないと考えられる場合、そのギャップを埋めるための努力を志望動機でアピールしましょう。

比較的アピールしやすいのが資格取得で、例えば経理職なら日商簿記2級を取得していれば、未経験でも応募要件を満たせる場合があります。

「いきなり日商簿記2級は難しい」と感じた場合は、前段階として日商簿記3級を取得し、簿記や会計に関する入門レベルの知識を得るという方法も選べます。

他の分野においても、資格取得が大きなアドバンテージになるようであれば、積極的に取得に向けて勉強した方が採用の確率を高められます。

例文

未経験の職種にチャレンジするための努力をアピールする場合、例文としては以下のようなイメージになるでしょう。

<営業職から会計事務所に転職するケースを想定>

前職では、法人様向けのルート営業に携わっておりました。保険の相談や新商品のご案内が主な業務でしたが、そこで経営者の方々が節税・資金繰りに強い関心を持っていたことに驚き、保険以外の分野についても幅広い提案ができるようになりたいと考えるようになりました。貴所を志望するにあたり、応募要件である日商簿記3級を取得し、現在2級合格に向けて勉強中です。

未経験の職種に応募する際の注意点

一般的に、経験者を優遇する求人よりも、未経験者を歓迎する職種の方が採用されやすいと考えられています。

しかし、人によっては採用を見送られる可能性があるため、未経験の職種に応募する際は以下の点に注意が必要です。

自分が「企業の求める人材像」でなければならない

一口に未経験者といっても、応募者が応募に至るバックボーンは人それぞれのため、応募先にマッチしそうな人、しなさそうな人は一定数存在しています。

仮に、自分が応募先にマッチする要素を備えていたとしても、自分以上にマッチ度が高そうな人材が見つかれば、多くの企業はそちらを採用するものと考えられます。

応募先の採用担当者や面接官に対して、他の応募者よりも自分の方が魅力的だと伝えるためには、学生時代やここまでの社会人生活の中で歩んできた道のりをしっかり振り返ることが重要です。

求人情報に記載されている人材像と、現在の自分との間にギャップがある場合は、本当にその求人に応募すべきなのか冷静に考えることをおすすめします。

転職しやすい職種かどうか検討する

職種によって転職の難易度が変わってくることも、実務未経験で転職する際は重要なポイントになります。

一概にはいえませんが、応募にあたり専門知識・技術を不問としている求人が多い職種や、現場で多くのことを学ぶ必要がある職種に関しては、未経験者が歓迎されるケースが多い傾向にあります。

例えば、次のような職種に関しては、未経験者でも比較的応募しやすい求人が多く見られます。

●ホテル・交通関連
●ブライダル関連
●公共サービス
●技能工・設備・配送
●農林水産 など

逆に、次のような職種の場合、経験者が優遇される、未経験者であってもポートフォリオの提出が求められるなど、転職の難易度が高い可能性があります。

●金融専門職
●ITエンジニア
●Webエンジニア
●ゲーム制作 など

これから自分が応募しようとしている職種が、そもそも未経験者でも応募できるかどうかについては、事前に確認しておきましょう。

若年者ほど転職が有利になる傾向にある

未経験者を募集する求人には、次のような企業の思惑が隠れている場合があります。

●新卒採用の目標に届かなかった人員を確保したい
●自社以外の環境で長く働いた経験のある人材を避けたい
●若手の柔軟性・ポテンシャルに期待したい
●未経験者を一から育てたい など

上記の思惑を応募者が満たしている場合、その多くは若年者になる傾向にあります。

長期的な目線から人材を採用したいと考えている企業の中には、未経験者を募集する企業も少なくないことから、未経験の職種に応募する場合、20~30代前半までを目途に転職する計画を立てましょう。

「未経験=マイナス」ではない!

実務未経験での転職は、必ずしも応募企業にとってマイナスに受け取られるとは限りません。

仕事に対する熱意・将来性などが評価されれば、採用される可能性は十分あります。

本来なら採用される可能性が十分あるはずなのに、未経験であることだけを理由に応募を控えてしまうのは、自分の将来の可能性を自分で摘み取ってしまうことにつながりかねません。
応募にあたり、自分なりの勝算があるのであれば、チャレンジしてみることが大切です。

まとめ

未経験職種への転職で志望動機をまとめる際は、応募先企業の視点に立ってじっくり考えた上で、自身のスキルやこれまでのさまざまな経験とのマッチングを明確にし、必要に応じてコミュニケーション能力や柔軟性などをアピールすることがポイントになります。

現時点で応募先との距離を感じている場合は、そのギャップを埋めるための努力もアピールしたいところです。

応募企業の求める人材像を十分に理解し、未経験でも転職しやすい職種を選べば、十分に勝機はあります。

未経験であっても、熱意や将来性があれば採用される可能性は十分にありますから、自ら未来への扉を閉めないようにしましょう。

2024年10月18日公開

文:JOB編集部

自分で仕事を探してみる