転職におけるカジュアル面談の活用方法|質問・服装・準備事項も解説
求人サイトや転職イベントなどで、最近「カジュアル面談」という言葉を見聞きしたことはありませんか?
カジュアル面談とは、求職者と企業担当者がリラックスしてお互いの理解を深めるための面談のことをいい、社内のほかカフェやホテルのラウンジ、オンラインなど幅広いシチュエーションで行われます。
選考とは一線を画し、お互いのことを知る機会として、近年では多くの企業がカジュアル面談を導入しています。
この記事では、求職者がカジュアル面談を最大限に活用するための方法について、考えておくべき質問内容や当日の服装、その他準備事項などについて解説します。
カジュアル面談とは
カジュアル面談とは、求職者と企業がフラットな状態でコミュニケーションをとれる面談のことをいい、主に「求職者が求人に応募するかどうか未確定」な状態で行われます。
企業担当者としては、将来的に面談の後の応募を見据えていますが、基本的には採用に直接かかわるプロセスではありません。
そのため、堅苦しさが取り払われた、リラックスした空気の中で面談が行われます。
カジュアル面談では何を話す?
カジュアル面談は、概ね次のような流れで進んでいきます。
●自己紹介
●面談に至った理由と目的の共有
●求職者側の現況や要望の確認
●自社の強み・メリットと、求職者の要望がマッチする点の共有
●選考の意思確認
自己紹介では、企業担当者と求職者がお互いの気持ちをほぐすため、仕事の話だけでなく、趣味・プライベートに関することなどもやり取りすることがあります。
企業側も話しやすい雰囲気を作ろうと努力してくれるため、まずはその流れに乗り、カジュアルな雰囲気作りを意識しましょう。
話が進むにつれ、徐々に面談を行う意図などについて説明が進んでいきますが、同時にこの時点では選考・採用に直結しないことも説明されるはずです。
その後は、会話の中で自分が質問したり、逆に企業担当者からの質問に回答したりするのを繰り返し、相互理解を深めていく流れになります。
なお、面談の中で企業に興味が持てたら、応募選考のプロセスに進むこともできます。
企業によっては、即面接に対応できる準備を整えているケースもありますが、基本的には日程を調整した上で書類選考・面接へと進んでいきます。
カジュアル面談で企業側が用意している質問事項
企業担当者の心理として、カジュアル面談では、どちらかというとお互いの「本音」に意識を向ける形で、まず参加者と親睦を深められるようコミュニケーションをとりたいと考えています。
その一方で、自社の仕事や社風にマッチしていて、活躍してくれそうな人材に対しては、応募を前向きに検討してもらいたいとも考えています。
相反する思惑の中で、応募という次のステージに進んで欲しい人を見極めるため、企業側は次のような質問事項を用意するケースが多いようです。
●これまでの経歴
●現職以前で取得したスキルや実務経験
●将来のビジョン
●現在の転職活動の状況
●転職で実現したいこと(転職を考えている理由)
●現在の職場における悩み
●自社(カジュアル面談を行っている企業)に対する悩み
●働きたいと思う企業・職場の雰囲気 など
よって、求職者がカジュアル面談に参加する際は、事前にこれらの質問がされることを想定しておきましょう。
質問に対して、自分なりの回答を用意しておくと、将来応募した際の選考がスムーズになる可能性があります。
カジュアル面談と一般的な「面接」との違い
カジュアル面談と、一般的な面接には、次のような点で違いがあります。
項目 | カジュアル面談 | 一般的な面接 |
---|---|---|
実施または参加の目的 |
<企業> 参加者が自社にマッチするかどうかの確認 マッチする人材の応募意欲向上 <求職者> 自分のキャリアや希望にマッチする企業か確認 選考に臨むべきかの検討材料としたい |
<企業> 採用すべき人材かどうか判断する目的で実施 <求職者> 内定を勝ち取りたい |
応募に至るプロセス | 企業によるスカウト リファラル採用 自社メディア・SNS経由での応募 など |
求人広告 人材紹介 企業サイトやSNSからの応募 など |
応募書類の提出 | 原則として不要 | 必要 |
採否の判断 | 面談だけでは判断しない | 書類選考・面接等を経て判断 |
コミュニケーション | 双方が自由に質問できる | 基本的に企業からの質問に応募者が回答 最後に逆質問のケースあり |
一般的な面接が、あくまでも内定・採用への有力な判断材料となることをゴールとしているのに対して、カジュアル面談では双方の有意義なコミュニケーションがゴールとなります。
企業としても、カジュアル面談の段階から志望動機などを聞こうとはしないため、自分がまだ本格的に応募を検討していない場合、企業の実情を見極めたい場合は、先にカジュアル面談に参加した方が安心できるでしょう。
求職者がカジュアル面談に参加するメリット
選考プロセスと違い、求職者がフラットな立場で企業担当者とコミュニケーションをとれることには、様々なメリットがあります。
以下、求職者がカジュアル面談に参加するメリットをご紹介します。
「濃い」情報を集められる
目指す業界が決まっている場合、カジュアル面談に参加した企業に入社するかどうかはともかくとして、その業界で働いている人とコミュニケーションをとることにはメリットがあります。
なぜなら、業界内の一歩踏み込んだ濃い話や、自分のキャリア構築に関するアドバイスなどが聞けるからです。
カジュアル面談を行った企業とは諸条件が合わず、いったん応募を見送ったとしても、面談で聞けた話は大いに参考になるでしょう。
少なくとも、自分にはどのような企業がマッチするのか、将来に向けてどうキャリアを構築すべきなのか、真剣に考える機会の一つとなるはずです。
企業側の思惑が分かる
求人に直接応募した場合、書類選考や面接は、基本的に自力での情報収集や文章推敲・面接対策が求められます。
応募企業のニーズが汲み取れなかった場合、見当はずれなアピールをして失敗するケースは珍しくありませんし、採用後にミスマッチに気付くリスクもあります。
しかし、カジュアル面談では、企業担当者が会話の中で次のような内容を説明してくれます。
・自社の概要
・現在募集している職種で行う仕事内容
・求める人材像 など
カジュアル面談後に興味が湧き、応募へと進んだ場合、すでに自己PRに必要な情報は揃っているため対策を立てやすくなります。
結果として、採用の可能性、就労後の満足度などが高まることが期待できます。
求人広告では分からないことを質問できる
もともと応募に興味があり、その上で本当に自分にマッチする職場かどうか詳しく知りたい求職者にとっても、カジュアル面談はよい情報収集の場となります。
一般的に、社風やチームの雰囲気といった「言語化しにくい情報」を収集するのは、求職者にとって難しいものです。
しかし、実際に現場で働いているスタッフがカジュアル面談に参加している場合、そのような情報を収集するため気軽に質問できます。
よって、自分にとって働きやすい環境かどうか、事前に察知するのに役立つでしょう。
カジュアル面談に臨む際の準備、服装
カジュアル面談に臨む際は、次のような準備をしておくと、企業担当者との会話が弾みやすくなります。
会社情報の確認 |
・コーポレートサイトなどを閲覧し、企業概要や採用ページなど、カジュアル面談に関連性のある情報を把握しておく ・応募を検討している職種につき、先輩社員のインタビューなどが掲載されていれば、そちらも確認しておくと話のネタになる |
---|---|
質問事項の整理 |
・将来的に自分が働くことを想定して、面談でなければ聞けないことを中心に質問事項を整理する ・職場の雰囲気や上司の人間像だけでなく、企業文化やチームの一員として働く上での注意点など、よりリアルな情報を収集できるようにしたい |
自分に関する情報の整理 |
・企業担当者から質問を受けることを想定し、転職を考えている理由や、応募する企業の条件などをまとめておく ・プライベートな要素を含む質問も想定し、人生で大切にしてきたこと、どうしても許せないことなどを考えておくのもよい |
服装に関しては、男女ともに「オフィスカジュアル」を意識してコーディネートを考えておくと安心です。
ネクタイやスーツの着用は不要ですが、概ね【ジャケット+シャツ(カットソー)+パンツ(スカート)】のコーディネートであれば無難でしょう。
夏場であれば、ジャケットの代わりにカーディガンを活用したり、ポロシャツを着たりするコーディネートでも問題ありません。
カジュアル面談における注意点
カジュアル面談における注意点としては、主に次のようなものがあげられます。
・面接のレベルではないが、一般的なビジネスマナーは問われるため、雑な対応は控えること
・面談後に選考へと進む場合、面談でのやり取りは選考担当者に引き継がれるため、発言には配慮すること
・オンラインで行う場合は事前にカメラテスト・マイクテストなどを行い、目線や顔の明るさなどに注意すること
また、カジュアル面談後に選考の案内がなかった場合、企業側が自分のスキル・経験を「自社にマッチしない」と判断した可能性が高いため、他の企業への応募や面談参加に気持ちを切り替えた方が賢明です。
まとめ
カジュアル面談は、参加する求職者にとっても、実施する企業にとっても、お互いをよく知るための場となります。
面談の中で、企業との相性の良さを感じられたら、そのまま選考に進む選択肢もあります。
逆に、自分には合わないと感じた場合でも気兼ねなく辞退できるため、いきなり応募するよりはカジュアル面談を間にはさんだ方が、納得のいく結果になるはずです。
転職後に後悔しないためにも、本音でコミュニケーションをとり、少しでも疑問・不安を感じた場合は色々質問してみましょう。
2024年9月10日公開