新しさと懐かしさが混在する、neu coffeeをご紹介します。
もともとの構想は「地域交流の場」
にこやかに出迎えてくれたのはneu coffee代表、渡村恵さん。午後のカフェタイムにお邪魔しました。晩夏の日差しが薄く入り、古民家の雰囲気がより深く感じられる店内です。では、早速お話をうかがいましょう。
スギノ
本日はよろしくお願いします。お洒落で素敵な古民家のカフェですね! 渡村さんは以前からカフェをしたくて、古民家を選んだのですか?
渡村
じつは、もともとカフェの構想じゃなかったんです。地域のなかで人と人を繋ぐ仕事がしたいと考えていて、ワークショップなど新しく人が出会い、交流ができる場所を探していました。もう少し街中を考えていたのですが、なかなか思うような物件が見つからなくて。
スギノ
古民家カフェという方向ではなかった、ということなんですね。
渡村
そうなんですよ。ワークショップができる物件探しが難航するなか、夫の親戚の好意で空き家を使えることになり、雰囲気の素敵なここをリノベーションして使うことにしました。
そこで選んだのが、人と人との交流ができる場所を作り、カフェを併設するというスタイルです。ありがたいことにカフェもご好評いただいて、お客さまがいらしてくれるようになりました。
スギノ
新しい交流や出会いがメインで始まった場所だったとは! カフェメニューがとても美味しいとの評判を聞いていたので、ちょっと驚きです。
子どもへの配慮が居心地の良さへ
スギノ
お子さま用のメニューがあったり、低めのテーブルだったり。それにこの広々とした空間だと、小さな子どもがいても安心して過ごせますよね。
渡村
掘りごたつのほうが座りやすいのですが、小さいお子さんが落ちてしまう危険を考えて、座敷スタイルにしました。つかまり立ちや伝い歩きの時期も、お客さん同士が「お互い様」という優しい雰囲気で、和やかに過ごしていただけています。
お子さま向けのランチセットもありますし、赤ちゃんには離乳食を持ち込みOKにしているので、一緒に食べてもらえますよ。
お子さまランチ・ホットドック・テイクアウトBOX 写真提供:neu coffee
スギノ
お話を聞いていると、若い世代のママやパパが多いという印象ですが。
渡村
午前中やランチタイムには子連れママのお客さまが多くいらしてくれますが、年配の方もたくさんいらっしゃいますよ。
お孫さんが大きくなって、赤ちゃんが懐かしいと目を細めたり、子どものお世話で自分のランチが取れないママに「赤ちゃん見てあげるからゆっくり食べていいわよ」と手を差し伸べたり。みなさんとてもお優しいです。
お洒落なオリジナルグッズや、ハンドメイド作家作品の展示・販売もしています。
スギノ
それはとても和やかで、素敵なランチタイムですね。古民家の暖かい雰囲気そのものの感じがします。
渡村
古民家をリノベーションしているので、若い方は「田舎のおばあちゃんちに来たみたいで懐かしい!」と喜んでくれますね。14時を過ぎるころから子どもは減って、大人のお客さまメインになります。静かにゆっくりしたティータイムを過ごせる時間が始まりますよ。
スギノ
そうですね。とても静かで落ち着きます。(取材をしているのは午後15時ごろ)
新しい交流の場としてワークショップを開催
店内奥にはテーブル席のある小部屋があり、書道やハーバリウムなどの毎月開催される講座を中心に、さまざまなワークショップが開催されています。
講座のない時間には、座敷の苦手なお客さまもこちらの席を利用できますよ。
彩むすび書・和みヨガ 写真提供:neu coffee
渡村
ノイコーヒーのノイはneuと書くのですが、これはドイツ語で『新しい』という意味なんです。古い家が新しく生まれ変わり、新しい出会いと交流を生み出す場所へ。そういう願いを込めた名前です。
スギノ
その思いを形にしたのがワークショップということですね。Facebookを見てみると、専門の講師の方が丁寧にレッスンしてくださる講座ばかり!
渡村
ええ。幅広い世代に人気です。なかには赤ちゃんをおんぶしながらできるものもあるので、参加しやすいですよ。
おひるねアート 写真提供:neu coffee
ノイカフェを取材する前は「子連れに優しいカフェ」の理由について、プレイルームがある、お子さまメニューがあるなど、形のあるものを想像していました。
しかし渡村さんのお話を聞いていくうちに、人と人とが出会い交流が生まれることで、一緒に優しさを育んでいける場所であること、それがneu coffeeが子連れに優しいと言われる理由なのかな……と感じました。
「新しく出会い、交流が生まれていく場所を作りたかった」という渡村さんの願いどおり、大人にも子どもにも優しいカフェ。みなさんも訪れて交流を楽しんでみてくださいね。