駿河湾にそそぐ安倍川の河口から、北へ約50㎞さかのぼった南アルプスのふもと。

そこに静寂と大自然とに包まれたいで湯の里、「梅ヶ島温泉」(静岡市葵区梅ヶ島)があります。

美肌とリラクゼーションによく効く、歴史ある温泉



梅ヶ島温泉は、約1700年前に開湯したと伝えられる、歴史ある温泉です。戦国時代には武田信玄の隠し湯として使われたこともあったと言われ、江戸時代には徳川家康が湯治に訪れたという記録も残っています。

そんな梅ヶ島温泉のお湯は、山のあちこち、12か所から自噴しているお湯を1か所に集めたうえで、各旅館・民宿に分けられています。

源泉の湯温は39℃で、単純硫黄泉ですが濃いアルカリ性。

全身を心地よい滑りで包む美肌効果が高いことに加え、ほどよい硫黄泉の香りによるリラクゼーション効果にもすぐれたお湯です。

「おゆのふるさと公園」で楽しむ、この地ならではの風情



ほとんど手つかずの山々に囲まれて、「川」と言うよりも「沢」と呼びたくなる安倍川源流沿いに旅館が建ち並ぶ、こぢんまりとした“温泉場”の風情もまた、梅ヶ島温泉の魅力です。



その魅力を求めて温泉街を散策するとき、コースから外せないのが、「湯橋」という名の赤い橋を渡ったすぐ向こう側にある、「おゆのふるさと公園」です。



対岸の温泉街を一望できるこの小さな公園には、江戸時代に甲州天目山で治療中の良純親王を、3匹の蛇がこの温泉に導き治癒させたことから「三蛇大権現」として奉られてきた湯之神社や、源泉が湧き出している洞窟(通常は非公開)があって、その脇では、梅ヶ島温泉の“守り滝”とされる「湯滝」が、水しぶきをあげて流れ落ちています。


また、梅ヶ島温泉の周辺は紅葉の名所としても知られています。

毎年11月の中ごろ、紅葉のピークを迎えると、この公園は美しく彩られた山々を望む格好の展望台となり、多くの観光客で賑わいます。

アクセスはゆっくり路線バス、のんびりドライブでどうぞ



静岡市の中心市街地から梅ヶ島温泉までは、新静岡セノバ始発で静岡駅前を経由する路線バス(しずてつジャストライン安倍線)を利用すれば、約1時間50分で行くことができます。

ただし、梅ヶ島温泉行のバスは1日に5本しか運転されていません(2017年5月現在)ので、利用する場合は、事前の時刻確認をお忘れなく。

車で行くのならば、東名高速道路静岡インターから約1時間20分、新東名高速道路新静岡インターから約50分の道のりです。

梅ヶ島温泉へ至る街道沿いには、足湯を備えた賤機都市山村交流センター「安倍ごころ」や、よもぎまんじゅう、わさびソフト、手打ちそばなどが味わえる農林産物加工販売所「真富士の里」といった休憩スポットがあるので、温泉までの道中はそれらに立ち寄りながらの、のんびりドライブがおすすめです。

まとめ


静岡から約1時間ほどでアクセス可能な「梅ヶ島温泉」。
ぜひ日頃の疲れを癒しに静岡の秘境温泉、「梅ヶ島温泉」へ出掛けてみてはいかがでしょうか。

撮影:杉山直人

<ライター>

杉山直人
皆さんの小学生時代、クラスに1人か2人は必ずいたはずの「鉄道少年」が、そのまま大人になってしまったのが私です。飛行機やバスもこよなく愛し、これら公共交通機関に「乗る」ことを最大の目的として、各地に出没しています。



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