日本は言わずと知れた地震大国。体に感じない微震はほぼ毎日あると言われています。一方で、そんな日本だから、建物の耐震技術は世界一というのが一般の多くの人が持っている意識です。しかし! そうか、じゃあよかった……と安心はできません。

グラっと来たあと、何もなかったように見える家屋でも、ガス管や水道管などの見えない部分のライフラインが破損し機能しなくなっている! ということも。そのときすぐに頭に浮かぶのが「明日からどうやって食べていく?!」ことではないでしょうか。

非常食の王道はやっぱり乾パン



いまどきは食べ物が豊富で、カップラーメンやゴハン代わりになるボリュームのあるスナック菓子等、ことさら非常食じゃなくても日持ちのするおいしいものはたくさんあります。

でもカンパンの保存期間は平均4年、老舗の三立製菓は5年。しかも主食として続けて食べられることを想定して製造されているので、それに耐える味と栄養バランスになっています。傷みにくく、軽く、水や火が使えなくてもすぐに食べられる乾パンはやっぱり非常食の王道です。

参照:三立製菓公式ホームページ(カンパン)

最初にカンパンを作ったのは静岡県ゆかりの人 江川英龍!



4月12日が「パンの日」であることをご存知ですか。パン食普及協議会が、昭和57年(1982年)に定めたこの日は、江戸時代に伊豆韮山代官を務めた江川英龍(太郎左衛門)が国内で初めてパンを焼いたと言われる日から来ているんです。

江川英龍と言えば世界遺産に指定された韮山反射炉を作った人ですね! そのとき焼かれたパンは軍が非常食として持ち運べる「兵糧用」に作られた、乾パンでした。長崎ではオランダとの交流が始まってから既にパンが焼かれていましたが、それは主に外国人向けで、日本人のためにパンを焼いたのはこの江川英龍が最初だったと言われています。

乾パンの老舗「三立製菓」は静岡にあります!



そしてただいまご紹介した、乾パンの代名詞とも言える「三立製菓」は同社の看板商品「カンパン」を作り始めて今年で80年の大老舗! 育ち盛りの子どもも、現在立派なお父さんお母さんになっている人が子どもの頃も、きっと一度は食べたことがあるでしょう。製造会社がどこかは知らなくても、「カンパンの……」と言えばみなさん「ああ、あれね!おいしいよね!」と一斉に合点がいくはずです。

でもカンパンを非常用にどっさりそろえたはいいけれど、実際に使う日が来ることは考えたくないですね。消費期限の迫ったカンパンが家の物置で眠っている、なんてことは実は幸せなことかもしれません。とは言え、食べ物ですから粗末にしないために、年に1回非常食の備蓄チェック日として期限切れ間近の非常食でお料理するのはいかがでしょうか。

もともとは小麦粉が主体ということで、つなぎに見立ててハンバーグに入れたり、細かく割ってフライの衣にしたり、牛乳に浸してやわらかくしてからデザート風にアレンジしたり。同社のホームページはもちろん、静岡県公式ホームページでも、非常食を使ったレシピが紹介されており、とても参考になります。どれもこれもおいしそう!

まとめ


災害はいつ起こるか分かりません。だからといってまだ見ぬものを怖がって毎日が楽しくなくなるのもがっかりです。できるだけの備えを普段から行い、「よし、なんとかなりそうだぞ!」という心構えができてこそ、家族みんなを笑顔にできます。そのワンステップとして、乾パンを始めとする非常食を備えてみませんか。おいしい非常食レシピがあれば、消費期限の迫った非常食の処理にも困りません。

伊豆の国市では江川英龍にちなんで毎年「パン祖のパン祭」が開催されています。「パン祖」とは江川英龍のこと。地元では親しみを込めてこう呼んでいます。また静岡市にある静岡県地震防災センターは小中学生用のイベントプログラムが用意されており、地震災害について楽しみながら学ぶことができます(入場無料)。食べ物も知識も常備して、今日もまた元気な一日を過ごしましょう!

<ライター>

鈴木潤子
三度のゴハンより音楽が好き。僅差でゴハンももちろん大好き! 将来自分のラジオ番組を持ちたいなーとあちこち根回し中です。ワールドワイドに突っ込んでいきます! よろしくお願いします!



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