平成27年4月に静岡県浜松市は、『子ども・子育て支援新制度』を実施しました。新制度とも呼ばれるこの新しい取り組みは、地域の子どもがより健やかに成長できるよう、子育て家庭の支援を推進する目的で発足しています。注目が集まる同制度について、具体的な事業計画をご紹介します。

“子ども・子育て支援新制度”ってなに?



子ども・子育て支援新制度とは、幼児期の学校教育向上や待機児童解消、子育て支援の充実を実現するための制度のことです。全体計画として、平成24年に内閣府が制定した『子ども・子育て関連3法』に基づいた内容であり、市町村を挙げた大規模な取り組みとなります。

たとえば、幼稚園と保育所の要素を兼ね備えた新しい教育施設である“認定こども園”の普及を進めたり、子育て相談の場を増やし、支援活動を拡充させたりする計画があります。

計画を進めるにあたって浜松市は、平成25年に市内5,000世帯を対象にした『子ども・子育てに関する現状調査』を行い、明確なニーズ把握に努めました。現状進めている計画は、そこで得られた意見・要望もきちんと取り入れており、制度が果たす役割に期待が高まります。

山積みだった課題。どんな現状が見えた?



平成25年に実施された子ども・子育てに関する現状調査について、浜松市は結果報告書にまとめて公表しています。そのなかで、浜松市が抱えていた課題が明らかにされました。

そのひとつは、教育施設にかかる費用です。主婦の意見に、「子どもが大きくなるにつれて費用がかかる。このご時世で主人の稼ぎだけでは厳しい」という不満の声がありました。利用者の負担を、極力減らすような取り組みが必要とされていることが伺えます。

もうひとつは、子どもをみてもらえる環境です。未就学児および小学生を持つ親への調査では、「常日頃から子どもをみてもらえる祖父母、友人がいるか」という質問に対し、いずれも「いない」と答えた方が1割程度いました。

さらに、子どもをみてもらっている方でも、「相手に負担をかけていないか親として心配」と答えた方が3~4割程度おり、子どもを安心して預けられるようなサービスの拡充が望まれていると分かったのです。

保育・教育環境の向上! 私立幼稚園再編計画への取り組み



市民の声を受けた浜松市は、新制度の一環として、『私立幼稚園再編計画』に乗り出しました。市内に63園ある私立幼稚園を”施設型給付を受ける幼稚園”としたうえで、平成30年より“認定こども園”へ移行することを発表したのです。

施設型給付とは、保育施設が実施する事業にかかる経費に対して、市町村が施設や保護者に助成金を支給する制度のことです。保育所であれば保育に、幼稚園であれば教育に要する費用が支給されます。

ここで肝となるのが、認定こども園への移行についてです。先ほど触れた通り、認定こども園は幼稚園と保育所の要素を兼ね備えた教育施設であるために、施設型給付を受ける際、「保育にかかる費用」と「教育にかかる費用」の両方が支給されます。

つまり、施設と保護者にかかる負担がより少なくなり、ニーズに合ったサービスが提供できるようになることが見込まれているのです。

まとめ


浜松市は「子ども・子育て支援新制度」によって、より子育てに適した環境を作ろうとしています。さまざまな取り組みを経て、暮らしやすいまちに切り替わっている最中ですので、今後の行方からまだまだ目が離せません。

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