毎年4月1日から5日まで、浅間神社、春の例大祭「廿日会祭」が行なわれます。それに伴い、今年も赤鳥居から浅間神社までの街中で「廿日会祭大道芸」が繰り広げられました。

静岡を代表する大道芸人あまる氏が企画する廿日会祭大道芸、今年も浅間商店街の中にあるフジカワ電化さん隣の倉庫を改装して、「大道芸の館」を期間限定で仮設オープン。 

今回は、「廿日会祭大道芸」をレポートします。

日本各地から大道芸人が集結!


北海道から広島まで、日本各地から集まった大道芸人たちが、今年も商店街を賑わせました。

日中は、いろんなスポットで、ジャグリング、スタチュー、バルーンやマジック、剣劇と、様々な大道芸で、道行く人を楽しませてくれました。




笑顔と躍動感溢れる、おっとちゃんの、タップダンス。




息ピッタリな芸を披露するのは、加藤みきお&ひろみち親子




艶やかな着物姿で、器用に紙を操るのは、KIRIGAMIST千陽さん。




ガンジスインダスドーダスさんの「生け花」は、花が咲いて枯れるまでを、身体でゆっくりゆっくり表現していきます。




バルーンやマジックと、いろいろな手法で楽しませてくれる、花のような笑顔がキュートなPerformer akiyoさん。




なるせ女剣劇団の十代花蝶さんは、いつでも子供に大人気です。

お通し、おつまみ、本日のおすすめ。まるで“居酒屋メニュー”のような大道芸


廿日会祭大道芸の期間だけ、突如出没する仮設演芸場、「大道芸人の館」。今年、その入口には大道芸と相容れないモノがありました。

それは、居酒屋や立ち飲み屋で見かける赤ちょうちん! すぐ隣には、「本日のMENU」と書かれたお品書きまで。




今年は居酒屋を始めたのか?! と驚くなかれ、これは立派な大道芸。夜のメインは、お客さまの注文の品を大道芸でおもてなしする「居酒屋大道芸」だったのです。屋台で買ったビールや食べ物の持ち込みも可能なので、居心地の良い居酒屋で演芸を観ているような感覚になれるのです。

毎年いろんな企画や仕掛けを立案して廿日会祭を盛り上げてくれる、あまる氏が番頭を務め、お品書きを持って、観客から注文を取ります。




「かくかくどんどん」や、「北の大地のアラカルト」、「妄想食材劇」など、どんな出し物なのか、まるでわからないメニューの中から「大道芸を注文する」という観客参加型システム。最初は戸惑う観客も、何が出てくるかわからない出し物に興味津々で注文します。




一人ミュージカルを演じる、おっとちゃん。熱演です。




バルーンで何を……、え?! 目玉おやじですか?!

注文の品には、「トッピング」を追加することが出来、普段はソロで活動する大道芸人たちの特別な舞台、即興コラボが観られます。




これはもしや夢の国のコント?




ギグリーズのクラウンマイムと、顎に乗せたジャグリングクラブで、芸をする「アシカ」をトッピング。




青木光男劇場さんが、バナナやイチゴの本音を語る?! 新感覚の妄想おしゃべり劇に、ジャグリングで水の流れを表現する「滝」がトッピング。

即興ゆえ多少のドタバタはあるものの、そこはプロの大道芸人。お客さんを楽しませる味付けは天下一品です。




炎のギタリスト原大介さんと、ジャグラー・コーヘイさんとのコラボ。




原大介さんのギターと、ジョー次さんのジャグリングとのコラボ。この体勢でのディアボロは、難しい……!




加藤みきお&ひろみち親子の、ひろみち君がソロデビュー!と思いきや、トッピングに「宮沢賢治」が追加され、なぜか「雨ニモマケズ」朗読とのコラボデビューに……。

注文に追加出来る「トッピング」が奇跡のコラボとなって、毎夜、赤ちょうちん劇場は爆笑のうちに幕を閉じました。

七間町の「劇街ジャンクション」が、廿日会祭でも。


七間町で不定期開催していた「劇街ジャンクション」が、廿日会祭の舞台にもやってきて、神社の境内に作られた仮設演芸場で、夜公演で披露されました。

今回は、「鳥人幸吉物語」という、空を飛んだ最初の日本人と言われる浮田幸吉の人生を演劇に仕立てたもの。




劇団渡辺さんの語りから始まり、原大介さんのギター、あやあねさんの歌ありという贅沢なコラボ演劇。




これで掴みは完璧。春とはいえ、夜は肌寒く感じる気温の中でも、次々と繰り出されるキレのあるジャグリングや、バルーン、マジックなど、最後まで観客を魅了しました。

「また、来年」の合言葉。


廿日会祭で出逢うのは、大道芸人だけではなく、重いカメラを片手に、大道芸人を撮り続けている写真家さんも。

毎年、廿日会祭の季節にお見掛けする写真家、佐治惣一朗さんは、大道芸人たちから「トチローさん」の愛称で親しまれています。

どんな出逢いも「一期一会」ですが、楽しさを共有する者同士が使う合言葉は、「また、来年」。

大道芸人たちも、大道芸を愛する写真家も、観客も。
また来年、桜の季節に再会できることを願って、それぞれの活動の場所へ帰っていくのです。




さて。廿日会祭大道芸をまだ観たことがないという方は、ぜひ来年は浅間神社商店街へ。赤鳥居から浅間神社に続く商店街では、廿日会祭の様々な行事や行列を観られる他に、楽しい大道芸に出逢えます。

もちろん、大道芸ファンの方は「また、来年」ですね。

撮影:佐治惣一朗

「廿日会祭大道芸」2017【Part.1】のレポート記事はこちら
「廿日会祭大道芸」2017【Part.2】のレポート記事はこちら
「廿日会祭大道芸」2017【Part.3】のレポート記事はこちら

「劇街ジャンクション」のレポート記事はこちら

<ライター>

猫たぬき
時に、舞台の脚本を書くシナリオライター。趣味、主婦業。静岡に住み始めて十年以上経つのに未だ関西弁が抜けない生粋の関西人。いつまでも新鮮な目で静岡を見つめ、楽しくおもしろい記事を綴っていきたいと思います。



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